前回は、帰省中に家族に施術を行った様子をお伝えしましたが、
今回は特に両親、特に父との再会について綴りたいと思います。
今回の帰省の目的は、前回投稿した内容とは他に大切な用事がありました。
それは「父に会うこと」
父と会うのは、実に4、5年ぶりになると思います。
父は70歳を過ぎたあたりから、認知症の疑いで病院に通い始めました。
その頃はまだ歩くこともでき、私の双子の娘たちのこともきちんと区別できていたように思います。
娘たちが3歳まで一緒に住んでいた頃は、たまに私と父で晩酌をしながら色々な話をしたのも、今では良い思い出です。
その後、父はデイサービスに通うようになりましたが、あまり馴染めなかったようです。
私が所沢に引っ越してからは、ショートステイを利用しながら生活するようになり、なかなか会う機会を持てないままでした。
数年前に帰省した際には、タイミングが合わず父に会うことができず、今回、ようやく再会が叶いました。
父との再会
父が入所している老人ホームでは、感染症対策のため、3人15分間だけの面会が許可されていました。
母と姉と一緒に訪れ、職員の方に車椅子を押されてやってきた父と対面しました。
「久しぶり」と声をかけると、父はキョトンとした表情。
マスクを外し、「誰かわかる?」と聞いてもすぐにはピンとこない様子でしたが、私が名前を名乗ると、「おお?!」と笑顔が返ってきました。
本当に私だと分かっていたのかどうかは分かりませんが、笑顔が見られたことが嬉しかったです。
続いて姉にも「誰かわかる?」と聞いてみましたが、「女の人!」との返事(笑)。
名前を伝えても、姉のことはわからない様子でした。
面会時間が限られていたので、私は父の足をマッサージしました。
最初は戸惑っていましたが、だんだん「気持ちいい」と表情が柔らかくなり、「楽になった」と喜んでくれました。
わずか15分間の面会でしたが、父に直接触れて、ほんの少しでも体を楽にしてあげられたことが何よりも嬉しかったです。
母のこと、これからのこと
母は数年前に足を骨折してから、杖をつきながら歩くようになっています。
以前、私が鍼をしたときには「歩きやすくなった!」と喜んで、家の中を元気に歩き回っていました。
今回、母にも久しぶりに会いましたが、どこか疲れが見えるように感じました。
今回は施術の時間を取ることができませんでしたが、次に帰省する時は、しっかり母にも施術をしてあげたいと思っています。
これからへの想い
父の足をマッサージしていると、明らかに筋肉が硬くなっているのを感じました。
ふと職員の方に「ここではリハビリやマッサージは行っていますか?」と尋ねたところ、「やっていない」との返答でした。
高齢者施設では、食事や排泄、生活全般のサポートに追われ、身体機能への細やかなケアまでは手が回らないのが現実です。
父の姿を目の当たりにし、私は胸が締めつけられる思いがしました。
かつて私たち家族を支え、たくさんの時間を共に過ごしてくれた父が、今は誰かの助けなしには生活が成り立たない。
それでも、たとえ会話が少なくなり、表情が少なくなったとしても、「触れること」「寄り添うこと」で通じ合えるものがあると、改めて感じました。

私が今、訪問鍼灸マッサージに取り組んでいるのも、まさにこうした思いからです。
体をさする、筋肉をほぐす、血流を促す――
それらの積み重ねが、身体の機能維持だけでなく、心の安心感や自己肯定感にもつながっていきます。
これからの日本は、間違いなく高齢化がさらに進みます。
認知症や足腰の衰えで動きづらくなる方も増え、医療や介護だけでは支えきれない時代が来るでしょう。
そんな中で、私たち鍼灸マッサージ師ができることは、決して小さくありません。
「治す」だけではなく、「寄り添いながら、少しでも楽にする」。
そういうケアが、ますます必要とされていくと強く思っています。
今回、父との15分間の面会を通して感じたのは、
「どんな状態になっても、諦めずに手を差し伸べ続けることの大切さ」でした。
家族だけでなく、地域の高齢者の方々、施設で暮らす方々にも、もっと積極的に施術を届けていきたい。
そして、ただの施術者ではなく、心に寄り添う存在として、笑顔や安心感を提供していきたい。
そんな新たな決意を胸に、また日々の仕事に向き合っていこうと思っています。
この帰省は、単なる休暇ではなく、私自身の原点を見つめ直す大切な時間となりました。
これからも初心を忘れず、一人ひとりの「楽になった」という声を力に、進んでいきたいと思います。